ダンゴムシの生態
ダンゴムシはいったいどんな人生を送っているのでしょうか。ダンゴムシの生態について、人間の一生を意識しながら紹介していこうと思います。
オスの情熱的な求愛行動
ダンゴムシは冬を過ぎて気温が上がり出した頃に繁殖期を迎えます。この時期にはオスがメスを追いかけていたり、抱き込んでいたり、または乗っかっていたりといった、オスのメスに対する求愛行動を頻繁に観察することができます。
メスにおんぶ状態になったオスは、メスの顔に自分の顔をすり寄せてしきりに触角で何かを探っているように見えますが、大抵の場合メスは嫌がっているように見えて、すぐに丸まって防御体勢に入ってしまいます。
それでもオスは抱きついたまま、丸くなったメスをコロコロ回したりしてちょっかいを出し続けますが、そのうち諦めたようにしょんぼりして去っていきます。
交尾の秘訣はヒトと同じ?
実際に交尾を観察したことはないのですが、おそらく求愛後に運が良ければメスが受け入れて交尾に至ります。
ダンゴムシの属するフクロエビ類は基本的にメスの脱皮時期に交尾に至ります。中には脱皮が終わるまでオスはメスと一緒にいて保護する(脱皮前ガード)といった行動をとる種類もいるそうです。
脱皮前ガードのような習性がダンゴムシに当てはまるかはわかりませんが、いずれにしても交尾に至るにはタイミングが重要のようで、この秘訣はわたしたちに通ずるものがありそうです。
なお、ダンゴムシの交尾については「交尾と求愛行動の謎。ダンゴムシミステリー!」をご覧ください。
予想外の産卵場所
運よく交尾に至るとメスはいずれ産卵しますが、その場所はなんと自分のお腹です。メスのお腹には保育嚢と呼ばれるものがあってその中に産卵します。メスの年齢にもよりますがその数は1度の産卵で大体百個前後にも及びます。
卵を持った保育嚢は黄色く見えて、光に透かすと数の子のような卵が観察できます。
何日か経過すると保育嚢は乳白色になって少し盛り上がり、肉眼でも内部に卵を観察できるくらいのサイズになります。
子どもの誕生
数週間後、保育嚢で孵化した子どもたちは初めての脱皮をする直前に保育嚢を破って外界へ這い出してきます。観察下では同日中に脱皮ラッシュがありました。
なお卵の殻は観察できなかったので、わかりませんがもしかしたら育房のなかで孵化直後に食べたのかもしれません。
そしてしばらくすると2回目の脱皮を行い、この脱皮を経て脚は6対から7対となり構造的には成虫の仲間入りを果たすのです。
脱皮を繰り返して成長する
からだの構造は成虫と同じになったとはいえ見た目の大きさはまだまだ小さくて色も白いです。その後、何度も脱皮を繰り返してすくすくと大きくなり、やがて成虫と同じくらいにまで成長するのです。
大人になったダンゴムシは、メスであればまた新たな命を宿し、そしてその種を繋いでゆくのです。ただ、ダンゴムシは大人にならなくても、産まれたその年に繁殖することもあります(参考「ダンゴムシの一生を追う」)
脱皮の記録画像は「ダンゴムシの脱皮・脱皮中の画像まとめ」を、脱皮のメカニズムについては「なぜ脱皮するのか?もし失敗すると・・・」のページをご覧ください。
ダンゴムシの寿命はヒトの1/20
ダンゴムシの寿命はだいたい3〜4年といわれています。わたしたちの1/20程度の寿命という計算になります。つまり寿命という点においては、ダンゴムシ20匹は人間1人に匹敵するということです。
※ダンゴムシジャパンでは、今までに20匹以上を飼育下で亡くしています。今後も犠牲を最小限にするよう努力を怠らないようにしたいと心がけています。
ダンゴムシは夜行性
夜行性とは、昼はお休みして夜に動きまわる動物の性質のことで、ダンゴムシは夜行性の生き物です。
夜行性である理由のひとつは天敵との関係があって、昼間に隠れていることで天敵に食べられずに済むからというものです。また、日光による水分蒸発を防げたのかもしれません。
ダンゴムシは冬眠する
生き物には冬眠する種類もいて、ダンゴムシも冬眠します。冬は気温が低いので、体温が下がって寒くて動けなくなったり、多くの生き物の元気がなくなってエサが少なくなることなどが理由であると考えられています。
ダンゴムシは地面の浅い部分で、密集して冬眠することが多いそうです。
左の写真は、飼育下のダンゴムシの冬眠と思われる様子です。近頃ダンゴムシ見かけないなと思い、ケース内の人参を持ち上げたら密集していたときのものです。右上に1匹死骸が見えます。。。右の写真は屋外の林みたいな場所で、地面に落ちていた何か忘れましたがめくったらいっぱい見つけたときの写真です。ワラジムシ付きです。まるで談合のようでした。
ダンゴムシの1日(飼育下)
ダンゴムシの生涯については上記の通り、(当り前ですが)ヒトとはかなり異なった生態となっています。ダンゴムシの日常的な1日というスパンにおいても、(当り前ですが)その生態はわたしたちとは異なっています。
ダンゴムシは夜行性なので、彼らの1日は夜に始まります。
夜になると目を覚まして徘徊を始めます。なお昼間眠っているときに無理やりいじって起こすと、しばらく麻痺した感じでウトウトしているので、どうやらダンゴムシは寝起きは悪いタイプのようです。
起きているときは繁殖期ならオスはせっせとメスのおしりを追いかけたりしていますが、基本的には触角をくるくるしながら歩き回っています。そしてえさを見つけるとしばらく食い付いていますが、飽きるとまた探索を始めます。
ダンゴムシは基本的に暗がりを好み明るいのを避ける習性があるようです。飼育ケースのフタをいきなり開けて光に照らすと、びっくりして丸まるため、石や枝などにしがみついていたダンゴムシがポトポトと地面へ落下します。徘徊中のダンゴムシも急いで丸まったり暗がりへ隠れたりします。しかし、しばらくすると危険はないと判断するのか、またもぞもぞと活動し始めます。
朝方まで探索は続きますが、昼頃までにはほとんどのダンゴムシは寝床へ隠れてしまいます。そして再び眠りについて充実した1日を終えるのです。
ダンゴムシの一生
実際にダンゴムシの一生を記録しています。まだ数カ月の記録しかありませんが「ダンゴムシの一生を追う」をご覧ください。