ダンゴムシの構造&体のつくりを徹底解剖

2017.03.15

ダンゴムシの体のつくりは、わたしたち人間とは見るからに違うし、昆虫とも違います。甲殻類とはいえ、エビやカニとも似ていません。しかし、人間とサルの体の構造が似ているように、実はエビやカニの構造とダンゴムシの構造とには隠された共通点があるのです。

甲殻類の体のつくり

ダンゴムシは甲殻類ですから、まずは甲殻類の体のつくりを簡単に解説したいと思います。

体節と付属肢で構成されている

甲殻類の体のつくりは、簡単にいうと体節と付属肢から構成されています。

甲殻類の模式図
甲殻類の模式図

体節とは胴体を形づくっている1ブロックを指し、付属肢とは各体節から出ている1対の器官のことで、だいたい関節を持っていて動きます。具体的には脚や触角などが付属肢にあたります。

体節は生き物の種類によって、癒着していたり退化や消失していたりするので、起源的な構造は同じでもその形態はさまざまです。いくつかの体節によって頭部、胸部、腹部、そして尾部などに分けられ、体全体を構成しています。

エビの体のつくり

エビやザリガニの場合は頭部が大きく見えますが、付属肢である脚が複数出ているので、いくつかの体節が癒着したものだということがわかります。腹部は各体節に腹肢と呼ばれる付属肢が出ています。しっぽは少し退化して小さいですが、尾の両脇に尾肢という付属肢が出ている構造になっています。

カニの体のつくり

カニの場合は、エビがしっぽを丸めた状態のように、常にお腹を折っている状態になっています。つまり、口の下に尾の先がある状態です。これを開くとエビと同じように腹肢が見えます。

このように、一見すると違うようでも、甲殻類は構造的には大体同じで、ダンゴムシもエビやカニと構造的には大きな違いはないのです。

ダンゴムシの体のつくり

ダンゴムシの体のつくりも、体節と付属肢から構成されています。体形はどちらかというとエビ、丸まるとカニに似ています。

14の体節から構成

ダンゴムシの体のつくり
ダンゴムシの体のつくり

ダンゴムシの体は14の体節が連なっているつくりになっています。

頭部(1)は1節から構成されていて、裏側には触角や口、表側には目が付いています。

胸部(2〜8)は7節から構成されていて、各体節に1対ずつ脚が付いています。

腹部(9〜13)は5つ、尾部または腹尾節(14)は1節から構成されています。腹部には腹肢、尾部には尾肢が付いて、腹肢は生殖器官や、白体または擬気管と呼ばれる呼吸器官となっています。

頭部

目の付いている体節がダンゴムシの頭部です。いくつかの体節が癒着したものと考えられていて、頭盾(ヘッドシールド)というかっこいい名前も付いています。

ダンゴムシの頭部
ダンゴムシの頭部

頭部の背中側には複眼が2つ付いています。ダンゴムシは結構なつり目ですが、不思議とかわいい印象を帯びています。個眼の数は数十個とのことですが、トンボが2万個だということを考えると、ダンゴムシは非常に目が悪い生き物だといえそうです。

エビのように目には柄が付いていませんが、これはほかの甲殻類とは違う等脚類の特徴のひとつです。

触角

ダンゴムシの触角は実は2対あって、それぞれ第一触角と第二触角と呼ばれています。わたしたちの見ている長い触角は第二触角で、第一触角は非常に小さく観察が難しいほどです。

触角は空気中に漂う物質を感知する嗅覚と、空間に存在する物質を感知する触覚の役割があり、第一触角は主に嗅覚、第二触角は嗅覚と触覚を担っていると考えられています。

第一触角は書籍などの写真を見ても、ダンゴムシを生で凝視しても、正直どれだろうと思っていましたが、「だんだんダンゴムシ」さんのこちらのページで画像が掲載されていました。触角に限らず、こちらのブログは専門的でとても詳しいので、ダンゴムシ初心者を脱したい方は必見です。

ダンゴムシの口は人間のように上下ではなく、クワガタのあごのように左右に動く構造で、形状もクワガタのメスのあごに近いかもしれません。

食事を観察していたら粘液のようなヌラヌラしたものが見えたことがありましたが、これはもしかしたら唾液か、見間違いかもしれません。

糸のように細くしたかつお節を与えると、みるみるうちに口を使って体内に取り込む様子が観察できるのでオススメです。

胸部

わたしたちが背中と呼んでいる部分は、実はダンゴムシの胸部です。

7節が連なっている

ダンゴムシの胸部は7つの体節が連結している単純な構造になっています。この7つの体節にそれぞれ1対の脚がくっついています。

ダンゴムシの胸部
ダンゴムシの胸部(右が頭部)

保育嚢

メスの胸部の裏側には保育嚢と呼ばれるカバーのようなものがあります。育房とも呼ばれ、産卵後に赤ちゃんは孵化して脱皮する前までここで待機することになります。出てくるときは保育嚢を破って出てくるので、あたかも母親のおなかを食い破って生まれてくるかのように見えますが、母親は無事です。

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ダンゴムシの保育嚢

腹部と尾部

腹部と尾部は、胸部よりも細い体節が6つ連なった構造になっています。

ダンゴムシのおしり
ダンゴムシのおしり

偽気管(白体)

オスもメスも裏面には偽気管(または白体、擬気管とも)と呼ばれる器官が、オカダンゴムシでは2対、計4個(遠目では1対2つに見える)あります。

偽気管は腹肢が発達したもので、陸生であるダンゴムシが陸上で呼吸をするための器官になっています。甲殻類だからエラ呼吸だと勘違いされやすいですが、ダンゴムシはこの器官(と皮膚)で呼吸していると考えられています。

偽気管は長時間濡れていると呼吸できなくなり、また乾燥しても呼吸できなくなるとのことで、かなりデリケートな器官のようです。きり吹きするときには注意しましょう。

ダンゴムシの偽気管(白体)
ダンゴムシの偽気管(白体)

交尾器

裏面は、メスはきれいに割れた腹筋のように見えますが、オスは管のような交尾器が目立ちます。

ダンゴムシのオスの交尾器
ダンゴムシのオスの交尾器

しっぽ

最後尾の体節はかなり退化して小さいですが、起源は尾のようです。よく見るとエビの尾と同じように、左右に尾肢が付いているのがわかります。水中で移動するには役立ちそうな尾ですが、陸生であるダンゴムシにはなくても良かったのでしょう。人間でいったら足の小指のようなものかもしれません。

背中

ダンゴムシの背中は鈍い光沢を放ち、オスは独特の青味を帯びた灰色、メスは黄金の斑紋を帯びています。

ダンゴムシの背甲
ダンゴムシの背甲

クチクラ層

ダンゴムシのアーチ状の背中はキチン質を含むクチクラという層が硬い表皮をつくり、水分の蒸発を防いでいます。また、丸まると全方位がこの硬い層に覆われることになり、ダンゴムシ特有の高い防御力を発揮することになります。

つなぎ目

ダンゴムシの背甲のつなぎ目は、瓦屋根のように少し入り組んで重なっていて、仲間であるワラジムシやフナムシよりも体内の水分が蒸発しにくい構造になっているとのことです。

昆虫類は別名を六脚類、エビやカニなどのメジャーな甲殻類は十脚類と呼ばれますが、ダンゴムシは十四脚類とは呼ばれず、等脚類と呼ばれます。

脚の数

ダンゴムシの脚は胸部の体節に1対ずつ付いている構造になっているので、全部で7対、計14本あります。

参考写真では、1〜7が脚、Aは触角、Bは尾肢です。

ダンゴムシの裏側
オスのダンゴムシの裏側(亡くなった個体なので少し乾燥が進んでいます)

生まれたてのダンゴムシは左右に6本ずつ計12本しかありませんが、(2度目の)脱皮を経て14本になります。つまり、ダンゴムシは子どもと大人では脚の数が異なる生き物なのです。

ダンゴムシの赤ちゃんの脚
ダンゴムシの赤ちゃんの脚

すね毛

1本の脚はいくつかの節からつくられています。先の方のいくつかの節の内側には毛が生えていて、ブラシのようになっています(すね毛が濃い)

ダンゴムシの脚の毛
ダンゴムシの脚の毛

脚の先端のつくりは爪のように尖っていて(参考写真ではすり減ったのか丸く見える)、これらのおかげで垂直面を登ったり、また逆さまになることができるようです。また上からつまみ上げようとすると地面にしがみついてなかなか取れません。地面が砂利などの場合につまみ上げると高い確率で小石も一緒に採れます(抱いてくるので)

こんな爪で触られると痛そうですが、実際にはなんともいえないむず痒さを楽しむことができます。

節足動物の脚の数

主な節足動物の足の数
主な節足動物の足の数

節足動物門にはダンゴムシの属する軟甲綱のほかに昆虫綱やムカデ綱、ヤスデ綱、クモ綱などが含まれています。

昆虫類は六脚類と呼ばれることもあり、名前の通り3対6本の脚を持っています。

ムカデやヤスデは多足類とも呼ばれ、種にもよりますが数十の脚を持っています。

クモ綱に属するクモやダニ、サソリなどは4対8本の脚を持っています。なおサソリのハサミはダンゴムシでいうと触角に当たるようで、4対8本の脚と1対2本のハサミを持っています。

軟甲綱にはダンゴムシの属する等脚目のほかに、有名な十脚目が属していてザリガニやエビ、カニなどが含まれています。名前の通り基本的には5対10本の脚を持っています。こちらのハサミはサソリとは異なり第一脚が発達したものなので、ハサミを含めて10本になります。