オスとメスの簡単な見分け方と確実な見分け方
ダンゴムシのオスとメスの見分け方をいくつか紹介します。いつか役に立つときが来るかもしれないので覚えておきましょう。
背中での見分け方
まずは定番で簡単なオスとメスの見分け方を紹介します。
斑紋の有無を見る
背中の模様の有無と色で見分ける方法で、背中に黄色い斑点模様がよく出ていて、基調が鈍いダンゴムシはメスの可能性が高いです。基調が鈍いというのは、オスのダンゴムシよりもベースの色合いが薄いということです。オスはしっかりとした濃い色が多いです。
この方法は100%確実ではありませんが、オスとメスを手っ取り早く判定したいときには1番おすすめの見分け方です。
お腹での見分け方
この見分け方は時期に左右されるものの、ほぼ確実にメスを見分けることができます。
裏返して卵を見る
ダンゴムシのメスのお腹(というよりは胸)には赤ちゃんを育てるための保育嚢と呼ばれる袋のようなものがあります。この保育嚢は、メスが産卵して卵を抱えている時期には黄色っぽく見え、さらに卵が成長すると保育嚢は乳白色になって少し盛り上がって見えます。つまり、お腹を観察して黄色かったり白かったりするダンゴムシは、メスということになります。
繁殖期に限られ、また産卵後のメスしか判断できませんが、メスを区別したい場合にはわかりやすい見分け方です。
生殖器での見分け方
かなり正確なオスとメスの見分け方を紹介します。
下腹部を見る
ダンゴムシのお腹には呼吸をするための、白くて丸い白体という器官が2つ(厳密には左右に2つずつ)見えますが、オスにはその白体の中間に生殖器である白い筋のような管が(厳密には2本)見られます。これは交尾のときに精子をメスに受け渡す役割を持つ器官のようなので、オスにしか見られずメスにはありません。
幼いダンゴムシだとほとんど見分けることはできませんが、大人のダンゴムシであればいちばん確実な方法だと思います。
行動での見分け方
着眼点を変えて、ダンゴムシの行動から性別を判断する方法を紹介します。
求愛行動を見る
二匹のダンゴムシがいて、どちらかがどちらかに乗っかっていたり、丸まっている方を抱き込んだりしている場合があります。
これはダンゴムシのオスの、メスに対する愛情表現なので、乗っかられている方や抱き込まれている方がメスの可能性が高いです。
また、オスはオスに求愛行動をされると、ピクピク、カクカクして自分がオスであると知らせるようです。ですからピクピクしているダンゴムシはオスの可能性が高いかもしれません。
なお、メスはよくオスに追いかけられてダッシュで逃げることがあるので、ダッシュしているダンゴムシがいたら、逃げているのがメスで追いかけているのがオスの可能性が高いです。
バクテリアでメス化?
ちなみに、ヨーロッパのとあるダンゴムシには、メスの比率が非常に高いものがいるそうです。メスばかり生まれてくるということです。
これはなんと、メスの細胞の中に寄生しているバクテリアの仕業で、受精した時点ではオスであっても、そのバクテリアがほとんどをメスに変えてしまうというのです。メスは子どもを産むので、そのバクテリアもその子どもと共に繁栄していくことができるということになります。
全てをメスにしないあたり、そのバクテリアもまた、立派な生き物としての性質を備えているのだと思い知らされます。全てをメスにしてしまえば、宿主であるダンゴムシ自体が絶滅してしまい、バクテリアも共倒れして絶滅してしまうからです。
オスとメスを実際に見分けてみました
オスメスの見分け方の精度はどれくらいなのか、実際に調べてみました。
背中に模様のあるダンゴムシを100匹ピックアップ
まずパッと見で背中に模様があるダンゴムシをピックアップしていきます。雑念を消し画像処理ソフトのごとく無心で選んでいくことがポイントで、オスっぽいなメスっぽいななどという主観をなるべく介さないように心がけます。
一応えさとしてにぼしを与えていますが、それどころではないようであまり食い付いていませんでした。
背中に模様のないダンゴムシを100匹ピックアップ
次に背中に模様のないダンゴムシをピックアップしていきます。後半見つかりにくくなったのでほんの少しの模様なら妥協しています。
宇宙人が牛を連れ去るというキャトルミューティレーションはきっとこんな感じだろうななどと思いながらも、ピンセットでやさしく傷つけないようにつまみ上げていきます。
※えさがないのは男女差別ではなくて撮影のためにケースを移したことに由来します。
生殖器による判定で答え合わせ
さて、ここからは実際に1匹ずつ生殖器による判断で区別していきます。なるべく先入観を排除してひたすら数をこなしていきます。
ひよこ鑑定士ってこんな感じだろうななどと思いながら黙々と作業していましたが、後ろ脚がちょうど邪魔で見えにくいことと、小さい個体だと判断が難しいこともあって、かなり難航しましたがそれでもなんとか判断していきました。
驚きの調査結果に
というわけで、調査の結果は表の通りです。
模様 | オス | メス |
---|---|---|
あり | 9 | 92 |
なし | 94 | 7 |
これを見る限り、背中の模様による区別でも9割以上の確率で正しい判断ができたという結果になりました。
個人的な感想ですが模様のあったオスに関しては少し背中のベースの色が濃かったように感じましたので、メスを見極めるには模様があって且つ色が濃くないダンゴムシを選ぶと、より精度があがると思います。
何が驚きなのかというと、いつのまにか101匹になっていたということです。しかもオスグループもメスグループもです。数え間違えたのがチョイスしたときなのか、判定したときなのかは不明ですが、これはちょっとしたミステリーです。
※先入観によるバイアスが結果に影響を及ぼした可能性(生殖器による判定が不正確)や、実験そのものの不正確さ(数え間違い)などがあったことはやはり拭いきれません。